まず最初に私事から。
私、ここ数週間、タバコを止めましてございます。健康のため、身の周りに気を遣ったため、お金の節約のため、etc。禁煙には色々なワケがありますが、オヤジのは単なる気まぐれです。特に理由はありません。

釣り堀ツアラーは只今禁煙中でございます。
釣り堀ツアラーは禁煙中でございますが、バイク旅にはタバコは必需品です。
バイク旅はちょくちょく休憩を取るのが定番であります。休憩はタバコを吸うためであります。休憩でのタバコの旨いこと。これは非喫煙者には到底理解し得ないことなので、解りたければタバコを吸ってみれば良いです。ということは置いておいて、旨いんですよ。旨いタバコが吸いたくて、バイクで旅をするのだと言っても、言い過ぎではないくらいです。タバコ吸いのバイク乗り諸君、オヤジの気持ちがわかるでしょう。わかったら拍手、パチパチ。

そのツアラーが、無謀にもタバコ吸いたさに身もだえながら逝くであろうのは、会津若松であります。
今年よりキャッチ&リリースの川として、阿賀川の上流ですな、その会津若松市内三キロばかりが、通年解禁されたらしいのであります。そこで釣りを「してみるベー」と、ふと思いつき、思いつくと逝きたくなり、逝きたくなると、矢も楯もなくなったのであります。
それでツアラーは禁煙中にもかかわらず、会津若松を目指して晩秋の北陸道を、愛機、XRモタードを駆って、ひた走るのでありました。

まだ日の上がらぬ北陸道は、途中にあった電光表示で外気温8℃でありました。東の空が赤らみ、太陽が頭を出さんとしております。寒くて、80キロ以上にスピードが出せません。100キロも出すと、袖の隙間、襟の隙間、お腹の隙間、ありとあらゆる隙間から、寒風が入り込み、ツアラーの体温を奪ってゆくからであります。
しかし、高速で80キロ走行というのは、なんも勿体ないですな。エンジンを唸らせて喘ぐ、大型トラックにも追い越される始末であります。
ツアラーは、追い越す大型を横目に見て、「おおい」と呟きブルブル震え、「いつもとろいんじゃねえ」と呻いてガクガク震え、「寒くて、とろいんじゃ」と言い訳して締めくくるのであります。ついでに、「今日は勘弁しておいてやる」と、釣れないときの捨てセリフを吐き捨てるのであります。
これでは高速を走る意味がない。
会津若松へ逝くのなら、北陸道から新潟市経由磐越道では、微妙に遠回りになります。それは長方形の角を正直にトレースするようなものです。三条で高速を降りて、村松を経由して、馬下というところで49号線を走り、三川あたりから高速に乗りたいのなら、乗り直せば近いんです。
ということで、ツアラーは寒いこともあり、三条で下道へ降りました。てか、三条で高速を降りるのは、最初からの計画でした。くどくど書いてごめんなさい。

日が昇り、そろそろ街は通勤の車で賑わうようになった村松界隈を抜け、馬下から49号線へ出ました。ここまで休憩はしておりません。
49号線に出ると「阿賀の里」という道の駅があります。トイレタイムを兼ねて寄りました。朝早いので、多分7時過ぎ、どの店もやってなく、閑散とした道の駅でタバコタイム。どうしましょう、禁煙中です。喫煙所の起立した灰皿を前にして、途方に暮れるツアラー。ご安心下さい。ツーリングパンツより抜き出した、一本のすりこ木。これです。



電子タバコですな。
なんだ、おしゃぶりか。
コラー! 侮るなや。こいつは国産のオモチャとは違うんでぃ。ヨードッパで流行ってるんでぃ。個人輸入すれば、ニコチン、二個のチンポコじゃないよ、化学物質のニコチン入りリキッドが買えるんじゃ。しかも風味はタバコ風から、コーヒー味、果てはコーラ味まであるんぞ。全部中国製で怪しげなんぞ。
ツアラーが今回持って来たのは、シトラスミントのニコチン11㎎入りと、トリプルメンソールのニコチンなしリキッド。これを取り出したすりこ木の吸い口を外し、それぞれ数滴ずつ垂らして、ニコチン薄目のブレンドをするのであります。
それから口に咥え、数秒吸い込みます。
白い噴煙が口からモワーと吹き出るのであります。
「うめー」
ニコチンは薄いのでありますが、心なしか、クラリとするのを覚えます。心臓の血管がキューっと縮む感じもあります。
でもしかし……、やっぱつまらん。こりゃまやかしだ。PCゲームの釣りみてえなもんじゃねえか。
リアルなタバコが吸いてえ、先っぽに火を点けてみてえ、と思う。だがしかし、満足ではないが、タバコを我慢できないほどでもない。もしかすると、35年も続けてきた悪癖から脱せられるかもしれないのだ。ここは大人の選択として、大人のおしゃぶりで我慢すべきなのだ。
ツアラーは、大人のおしゃぶりを大きく吸って、口から白煙を吹き出してから、バイクに跨り、排気口からも白煙を吹き出したのであります。

さて、日が昇り、気温が上昇するかと思いきや、それは津川辺りまででした。10℃を下回った気温は上昇することなく、峠の頂点に達する辺りでは、5℃でありました。おまけに霧が大量発生しております。紅葉のもっとも良い時節だろうに、山はおろか、メットのシールドに細かい水滴が付着して、行く先の100メートルを見通すのがやっとです。
せつねえ、こういう時のバイクはせつねえ。時間をずらして、もう少し遅い時間、昼近くまで待って通るのなら、気温も上がり眺望もよくて、気持ちのいい川沿いの道を走れただろうに、なぜしないのか。
それは、釣り堀ツアラーだからです。釣り堀と名のつくツアラーは、釣りをしなくてはなりません。弱小でも釣り堀屋なのです、走り屋ではありません。釣りをするにはなるべく朝早めに川へ行くことが大事なのです。
なので、朝早いと言っても、8時頃だと思いましたが、その峠を走ったわけです。霧は峠を越えると尚深くなり、会津若松まで続くのであります。
会津若松へ到着したのは、午前9時頃だと思いました。
会津若松で49号線が阿賀川を渡る橋から川を眺めれば、そうですな、清津川下流程度の太さですかな。釣りやすい大きさの川です。

ツアラーは釣り場を探すべく、高速が阿賀川を渡る橋を目指します。その橋の下流、数百メートルから上流、二つ目の橋までがキャッチアンドリリースのエリアで、そこは通年解禁されているそうなのです。
釣り券を買って、日釣り2000円でした。選んだ釣り場は、エリアの真ん中へ頭首工のあるその頭首工より上流のプールです。長さは100メートルないくらいですか、川の規模が小さいので、これでも大きめのプールです。そこでやりました。
取りだした武士の魂は、10’1ft、5#~6#のロッドです。ラインはフローティング。その先へブレイテッドの5ftのシンキングリーダーを取り付けます。フライは8#フックの大人しいウエットフライです。それの50センチほど上に、ドロッパーで黒のマラブーで作ったイントルーダー風を結びました。
胸に吊したバックから、おしゃぶりを取りだし咥えます。おしゃぶりはリアルタバコと違って重たくて、咥えながらの釣りはできません。勢いよく五口ほど煙を吐き出して、おしゃぶりをバックに仕舞い、いざ一投目であります。フライはプールの流れ込みに入り、浮かびながらナチュラルに流れています。とりあえずフライを水に馴染ませねばと流したのであります。何回かフライを水に叩き付け、濡らして沈むように馴染ませておりました。と、「ん!」、水に馴染ませていたドロッパーフライの下に魚が走ったような。
ような、ではなく、明らかに魚です。魚であって欲しいものです。魚だと良いなあ。これを釣り師の三段論法という。閑話は休題。
「魚かも」
そう思ったツアラーは、慎重にフライを投げ入れました。アップで流れ込みに投げられたフライは、沈みながらツアラーの目の前に流れてきて、そこから若干スイングしながら下流へナチュラルっぽく流れます。この辺りだと思いつつ水中を注視していると、魚が見えました。その魚は何かを咥えたようです。
あの馬鹿、何を食いやがった。悔いを食った。これを後悔という。ぼんやりと駄洒落などを考えるツアラー。
なにぼんやりしてやがるんだ。合わせろオヤジィ、てめえのフライに食い付いたんだよ。
釣れない釣りを毎回しているから、ノンビリとしたもんです。自分のフライを魚が咥えるなどとは思っていないんです。遅いかーと思いながら、合わせをくれました。
「か、かかった。さか、魚じゃ」
かかった魚は、良いサイズのレインボーのようです。ドババーと水しぶきを上げて、一目散に対岸へ向かって走り、そこでジャンプして、今度はリールからラインを引き出しながら、下流へツアラーが一番良さげだと思って目を着けた流れに走って行きます。
だめ、いっちゃ、駄目よぅ。
魚の走る方向は、いかにもよさげな流れです。そこでもう一尾釣らねばなりません。ツアラーは魚を走らせないように、強引にロッドで溜めるのであります。ロッドは満月になり、ポッキリ、
どうなったと思います。折れませんでした。たかが五十センチ足らずの魚に折られたのでは、金返せー、と釣具屋さんに怒鳴り込まねばなりません。
魚は素直に溜められ、岸辺に寄って来ました。そこをすかさず擦り上げたのであります。それが、これだ。ドロッパーを食ってました。



おそらく五十センチを若干かける。というサイズではないでしょうか。いい魚です。と、自画自賛。
自画自賛したい者は、放っておくに限ります。放っておいて、先程から目を付けていた良さげな流れにフライを入れます。フライは同じです。流芯をまたいで対岸際を狙うのであります。流芯にラインが喰われないようラインベリーを向こう側へほとんど入れて、上流から張り気味に、流れより若干ゆっくりと流します。フライがスイングしないよう注意して、ラインの置き位置に気を配っております。
と、ライン先端が上流にチラリと向きを変えました。フライが根掛かりしたということもあるかもしれませんが、この場合、魚が咥えた。この方がより有効な解釈の仕方でしょう。
なに冗長なことを言ってやがる。合わせろ、合わせるんだオヤジィ。
おっと、その通りです。ツアラーはロッドを煽りました。ラインベリーがたるんでおり、ビッシっと決めることはならずも、ラインは引かれ、合わせられました。ラインの先には生体反応があります。
なおもラインを張り、ロッドを曲げると、その魚は突然、一気に上流へ走って行きました。あれよあれよの出来事です。リールが逆転して、触るのが恐ろしいくらいです。
魚はプールの流れ込みまで走って、そこで止まりました。ツアラーも魚を追って、プールの流れ込みまで走ります。止まっている魚に、横からプレッシャーをかけるのであります。
魚は底から浮いてきました。大きな魚体です。先程より一回り大きいような。50センチは越えているでしょう。
「もうちっと浮かせるか」
ツアラーはそう思って、ロッドを満月まで曲げてみました。魚の背びれが水面から出ると、魚は嫌がって一暴れいたします。尾びれを曲げて、身をくねらせて水中めがけて突っ込みました。そこでふとロッドが軽くなったのであります。生体反応がロッドの先から消えてしまいました。ツアラーは信じられない思いで、ロッドの先から垂れ落ちたラインを眺め、それからラインを回収し、フライを手に取りました。
黒のマラブーで巻いた、イントルーダー風のドロッパーフライの毛が毟られて、ビンボー風に変化しておりました。合わせが弱くて、あるいは針先が甘くて、魚は逃げてしまったのです。
ガックリであります。膝を曲げ、その場に朽ち落ちて、胸を探ります。左手はしつこく胸を探るのであります。
一服を脳が求めていました。タバコを咥え、シュッポっと火を点けようと無意識に左手が動いております。残念ながら、シャツのポケットにはいつものやつはありません。ツアラーはそれに気が付いて、胸のバックからおしゃぶりを取りだし、咥えました。すりこ木に似たそいつをしゃぶりますれば、エア漏れの間抜けな音で、メンソール風味が口中に雪崩み、白煙となって排出されました。
「ちげーな。これじゃねえ」
思わず独りごちるツアラー。だがそれしかありません。物事の一区切りに点けるタバコの一吸い。旨い不味いは別にして、それまでをリセットする。この場合は魚をバラしたことですが、そう言う場面をリセットするには、タバコはよいアイテムでした。すりこ木を咥えて、プハーっとやったところで、リセット効果は薄いと言わざるを得ません。
だがしかし、リアルなタバコに火を点けずに二週間過ごしておるツアラー。ここで些細な誘惑に負けるわけにはゆきません。吸いたい願望を強引に押し殺して、次の魚を求めるのでありました。
余計なこととは思いますが一言。
タバコ未体験者にもの申す。一区切りのタバコ。何かを達成した後のタバコ。例えば山登りで頂上を極めたタバコ。例えば麻雀でテンパイしたときのタバコ。これはウメーっす。
あなたはそれを体験せずに死にますか?それとも体験して、禁断症状に苦しみます? 選ぶのはあなたです。
以上余談でした。

ということで、大きめの魚をバラしてしまったツアラー。諦めずに次のポイント、上流のプールへ向かいました。
ふと時間を見れば、お昼を過ぎております。釣りに夢中になり、時間感覚がなくなっておりました。先程のプール。100メートルないくらいのプールを、三時間もかけて丁寧に探ったんです。こうして文字にしますと簡単に書けちゃうんですが、実はあれこれとしつこくやっていたわけです。
なんせキャッチ&リリースの川というのはマスがスレているのが一般なんで、少し流して当たりがないから魚が居ないと言えないわけで、フライを替えたり、流し方を変えたり、数回のトライは一つのポイントに必要なんです。そうやってねちっこくやっていると、小さなプールで三時間かけて、魚が一匹と、バラしが一つということになります。
おっと、また余談を、余談ばかりで肝心なことを書かずに紙面が詰まってきております。長々と、いらぬ話しを聞かされて、いい加減辟易しているかと思います。ここで大幅に割愛して、結論から。
こんなん釣りました。



釣り方は上述のものと同様です。ふと時間を見ますれば、午後三時でした。昼飯も食わずに夢中になっておりました。
旅の続きです。
当日は会津若松泊まりです。市内のビジネスホテルに泊まりました。
夕方市内の散策へ出掛けたところ、すっごいイルミネーションを発見したのであります。



黄金風呂って、竜宮御殿って……。
オトーサンの心はくすぐられますよね。逝っちゃいました。ツアラーも。
なにを期待していたかって、酒池肉林な風景を想像していたわけじゃないですけど、プラの黄金風呂はありました。竜宮風の宮殿に似せた、塗り物もありました。たしかにイルミネーションの通り。
でもまあ、普通の立ち寄り湯でした。湯は温泉でしたよ。

翌日、迷った挙げ句、朝の内だけ釣りをしようと、阿賀川へ逝きました。
冗長な文章になりますので、結果から申しましょう。釣れませんでした。当たりすらありませんでした。
キャッチ&リリース区間は3キロです。そこへどれだけの魚が留まれますでしょうか? 川はキャッチ&リリース区間の前後にもあるわけです。散ってしまって当たり前です。昨日が出来過ぎというやつでしょう。たまたま良いプールに当たった。それだけのことだと思います。

釣りをやめて秋の日差しの中を、紅葉を見ながら帰るツアラーです。




昼飯は蕎でした。49号線沿いにある民家でやっております。営業中とあったので入ってみたら、誰もおらず、奥の座敷から声がします。声をかけること三回目、ようやく奥から返答があり、靴を脱いで、襖を開けました。そこは座敷でお客が一組あり、店主というか女将さんといいましょうか、女性の方が接客しておりました。
座りますと、お茶をいただき、お茶うけの料理を勧められます。一つのテーブルの上に皿と煮物等々が乗っており、それを勝手に食えというわけでした。ツアラーも皿に数種の料理をもらって食べ、天麩羅蕎を注文いたしました。



値段の割に旨い蕎だと思いました。ただ、入りずらいです。

紙面が詰まっております。ここからは早送りで。
それから49号線を南下し、290号線を西へ、栃尾から長岡経由で釣り堀へ帰ったとさ。最後は投げやりで終わりました。

今週の放流は資金不足により、なしです。来週末、19~20日は放流いたします。ついでに「紅葉を見にいこうよう」と題して、イベントをやりたいと思っております。
19~20日に、アルビノを釣られたお客様、先着(これは店頭で発表)名様に、豪華粗品、いつものことですが、粗品に豪華とつくのはおかしいと思いますが、豪華粗品プレゼントします。
是非いらして下さい。お待ちしております。