5月の連休、ありがとうございました。
お陰様で、放流代だけは稼ぐ売上を確保できました。
稼げたのは放流代だけで、養魚場様を喜ばせた他には、弱小の釣り堀屋が喜ぶような事態にはななりません。情けないやら、悲しいやら、おらちは、いつになったら金という回り物が貯まるのじゃ。叫びながら、じっと手を見る私。
と、悲哀にくれる釣り堀屋ですが、連休の中日に一日だけ、釣りに行ってまいりました。
釣り堀ツアラーを名乗るのでありますから、勿論、バイクであります。
XR250モタードに、釣り竿を括り付け、今年も釣れないサクラマスを弄りに、三面川へ出撃であります。

当日は南風が強く、カウルのないXRが高速を走ることは、無謀でありました。時速90キロを越えると、風にヘルメットを持っていかれ、首が取れそうになります。
真っ直ぐ前を向いている姿勢が苦しくなって、○■×▲△□●×と叫んでしまう始末。○■×▲△□●×は、あらゆる放送禁止用語が含まれており、最後に弱小ポコチン釣り堀野郎と、罵って締めくくるのであります。
釣り堀も、ポコチンも、仰るとおり弱小なので、全く異論のない釣り堀ツアラーでありました。



高速道路のXR250モタードであります。

風に煽れれながら走るものだから、やたらと各部位に無駄な力が入り、背中やら腹筋が強張るのでありました。
昨秋よりタバコを止めているツアラーであります。
これまでならタバコを吸いたさに、あらゆるパーキングエリアに寄って、一本ずつ灰にしておったのでありますが、タバコを吸う必要がないのであります。
柏崎で高速に乗って、刈羽、西山、栄、黒崎と並み居るパーキングエリアを無視して通り過ぎ、寄りましたのは、小用のために、豊栄のパーキングのみでありました。
ここでもタバコを吸わないから、長居はいたしません。小用をさっと済ませると、背中痛や、腰痛や、肩こりなど、体が無言で訴える悲鳴を無視して、バイクに跨るのでありました。
これではタバコを止めた意味がありません。休まないのでありますから、精神的肉体的に全く良くはありません。タバコを止めてまでも、不健康なツアラーでありました。

ようやく三面川の流れる、村上へ辿り着きました時は、お昼を過ぎておりました。腹が減りまくりであります。
インターを出て、すぐに中堅ラーメンチェーン店がありましたので、即、突入であります。当日は南風で気温が高い状況でありましたので、頼みましたラーメンは、つけ麺でありました。
「つけ麺大盛り」
腹が減っておりましたので、思わず大盛りと叫んでしまいます。ついでに「餃子」とも付け加えました。
暫し、沈黙。
もう暫し沈黙。
「おおい、早うせいや」
釣り堀ツアラーが待ちくたびれて、厨房の奥へ鋭い目を向けたところ、ツアラーの注文した品々が登場するところでありました。
「おおお」
つけ麺のどんぶりに、麺山盛りであります。
「これは、食べ応えある」
思わず、己の腹を撫でるツアラー。麺を前に箸を割り、いざ、食さん。
「んん?」
大盛りに盛られたように見える麺へ突入させた割り箸が、途中で何かに当たります。
「なんじゃ、おどれは」
意地になって割り箸を突っ込むツアラー、麺を掻き回します。すると、なんと。上げ底の竹ザルが、どんぶりの中間位置から顔を覗かせるではありませんか。
「なんと、せこい真似をする」
このチェーン店は、麺の量が少ないと兼ね兼ね思っておりました。先程、どんぶりからはみ出んばかりの山盛りの麺を見て、その評価を取り下げようと思っておりましたが、やはり評価は以前のまま維持であります。
肝心の味はと申しますれば、チェーン店としてはスープも麺も丁寧に作られておりまして、三ポコチン亭より、ずううと旨いと、ツアラーは評価いたしております。

おっとと。
昼飯の話はどうでもよい話題でありました。
もはや昼を回っております。時は五月の大型連休まっただ中。さぞや川は、長いフライロッドを担いだ連中で賑わっておるに違いありません。急がねばなりません。
急いでバイクに跨り、川を目指します。
道から垣間見る川には、アングラーの姿はまばらです。長槍の行列はどこにもありません。
川は雪代で増水しており、平時の倍ほどの水量があるようでした。
「さあて、どこへ入ろうか……」
アングラーは見えないと申せども、連休であります。少なくとも、入りやすいポイントは、入れ替わり立ち替わり、攻められているに違いありません。



と、考えたツアラーが選びましたポイントは、ここでありました。
ここは小さなスポット的なポイントで、少し歩かねばならず、もしかすると、竿が抜けているのではないかと期待して向かったツアラー。
アングラーの姿はありませんでしたが、今し方、歩いたような足跡がありました。
さすが、どん兵衛。サクラマスのいそうなところは、小さいスポットであっても、弄っておりました。
狙いのポイントは、どん兵衛に弄られておりましたが、仕方ありません。連休であります。他の場所はもっと弄られているに違いなく、少なくとも、目前には誰もおりませんから、やらない理由は見いだせません。
で、取り出しました武士の魂は、8番のスイッチロッドです。
無銘の中国産安ロッドであります。確か、一万数千円で購入したロッドです。これから使おうと考えている、数ティップ付属のラインより、やっすい価格なのであります。
このロッドは4本継ぎで、仕舞い寸法が短いため、バイクで持ち歩くには、最適なのであります。
そのやっすいロッドに、シンクティップの先端へ、タイプ4のティップ、このラインは、竿より価格は高いのであります。万一、根掛かりなどした場合、竿先を流れに突っ込んで、折れる事態を覚悟してでも、ラインだけは回収せねばなりません。その高価なラインを通して、いざ第一投です。
「どりゃああ」
左岸ですから、シングルスペイで投げます。なるべく水音を立てないよう、静かに投げます。
スカジットなどで、やたらと水面にラインを置くキャスティングは、水音を大きく立てますので、目前の小さなスポットには適しません。
なぜなら、魚は岸際、ほんの数ヤードの所へ定位していると思われるからです。
フライは赤、黒、青フライです。名付けて、レッド、ブラック、ブルーフライ。
おい、英訳しただけじゃねえかよ。
茶々入れない。フライの名前などは、どうでもいいの。

一流しを終え、いつもの通り、アタリすらもありませんでした。
二流し目。ラインをフルシンクのシューティングヘッド、タイプ4に替えます。
「どりゃああ」
キャスティングは調子いいです。短小、安価なロッドですが、国産の10万円台のロッドに比べても、遜色なく使えます。
だいたい、ロッドの価格は高すぎます。おおっと、これ以上申すと、釣り具業界を敵に回す羽目になりますので、控えておきます。

二流し目は、ラインのシンクレートを深くしましたので、時折根掛かります。レッド、ブラック、ブルーフライが数本なくなりました。
このフライは、安価な材料ばかり使っておりますので、全く惜しくありません。フライ回収のためにポイントを荒らす必要もなく、根掛かって、外れないようなら、ガンガン切ってやります。
ツアラーは、レッド、ブラック、ブルーフライをガンガン切りながら沈め、ポイントを探りましたが、根掛かりの反応以外は、アタリもありません。

フライを沈めて、底まで探ってみますと、次に試す手がなくなります。フライを替えるとか、リトリーブのタイミングを変えるとかありますが、それは小手先です。
ツアラーの気持ちの中では、この場所は探り尽くしております。他の場所へ移らぬ限り、やる気は起きません。時刻は3時半です。
この頃、場所替えも面倒臭く思えるツアラー。今日も一場所を探っただけで、飽きてしましました。
「家に帰って、かみさんの顔を見よう」
結局、何するために川へ立っていたのか、さっぱり分かりません。サクラマスは、飽きては絶対に釣れませんから。
サクラマスの釣りに必要なのは、高価なロッドではありません。諦めない粘りだけです。
でもしかし、その粘る心が捻出できないのです。

粘れないツアラーは、半熟カステラなるスイーツを土産に買って、XR250モタードに跨り、一路家路を目指すのでありました。
帰りは勿論下道です。
下道を通りましたにも関わらず、往きと、数十分しか時間は変わりません。どうよ、どう思う?
ああ、半熟カステラ? カステラをパンクさせたような、しょぼい外見です。喰ってみたら、うんまかったッス。

放流? するわけありません。
スレたマスは沢山いるから、釣れないとしたら、誰が悪いのでしょうか?
それは、魚をスレさせるお客様でしょう。