今週は、久しぶりに釣堀ツアラー旅日誌を更新いたします。
前回の更新は、オバマ米大統領の再選の年なので、2012年秋でありました。てことは、一年半以上ぶりの更新となります。
釣堀屋は、一昨年も、昨年も、釣りには逝っておりました。
実は、このところ、渓流のドライフライに面白味を再発見しておりまして、主として、渓流ばかり通っておりました。
尺より大きい魚を釣ったら、釣堀ツアラー旅日誌を更新せぬでもない。釣堀屋は、かような不遜な考えを持っておりました。
しかし渓流では、魚のサイズは大きくとも、尺までであります。
結論から申しますと、泣き尺程度の魚は、複数、釣っておりますが、それ以上の大きさの魚を釣る行為は、できなかったのであります。
それと、釣堀ツアラーを書く作業は面倒臭いのであります。
写真を挿入せねばならず、また、道中の趣も書かねばならぬ。非常に面倒臭い。
釣堀屋は釣り人であります。
釣り人山を見ず。よく言われます。釣りに行く際の釣堀屋は、道中の景色など、どうもよいのであります。
景色より大事な命題があります。それは、よい釣り場を見つけること。釣り場に、他の釣り師より先に立つこと。この2点なのです。
上述の2点以外は、釣り場へ向かう釣堀屋の脳裏にはありません。
道中に希代の名勝、名跡があったとしても、釣り場の名ポイントに勝る名勝はないのでありますから、そのようなものは、一切、無視です。
釣りには逝っても、釣果以外の写真は撮らぬわけで、その釣果が、尺以下の魚の羅列では、「なんだ、メザシかよ」と、読者を落胆させるだけであります。
で、ありますので、釣堀ツアラー旅日誌は更新しなかったのであります。
此度、パスタイムを訪れましたお客様から、釣堀ツアラー旅日誌の更新をしないの? と要望されました。
それで、いつから更新していなかったかと、過去記事を調べれば、なんと、先に申した通り、2012年以来であります。
随分更新していないと、釣堀屋は大反省をしたのであります。同時に、近々に、更新しなければと、決意した次第であります。

長々と前置きをしました。
釣堀ツアラー旅日誌の更新を決意した釣堀屋が向かいました釣り場は、魚野川でありました。
サクラマスを狙うのなら、三面川です。しかし、ネットで三面川の流量を調べますと、通常より倍以上多い水量でありました。
ルアーに比べ、アピール度の低いフライでは、多い水量は圧倒的に不利であります。それと、サクラマスの釣りは、釣れない結果が当たり前の釣りです。いわば、交通事故に近い。
逆に考えれば、釣れた結果は、偶然であります。
ですから、久しぶりの釣堀ツアラー旅日誌を更新するための釣り場としては相応しくないと、釣堀屋は判断したのであります。

そこで、魚野川であります。
魚野川は、2011年の、新潟福島豪雨で、大きな被害を受けた河川です。
水害後、どうしたものかと、魚野川で釣りを試みましたが、魚の気配は感じられなかったのであります。
余談ですが、ホームリバーでありました魚野川から魚の気配が消えたので、釣堀屋は、本流の釣りから、渓流の釣りに切り替えたわけです。
渓流の釣りを再開してみれば、これがまた細やかで面白かったのです。本流の釣りを金襴豪華なバブル文化とすれば、渓流の釣りは、茶の湯です。侘びと寂びの釣りであります。
釣れる魚は小さくとも、本流の一発に比べて、遜色ない面白味がありました。
釣堀屋は、水害で、魚野川が魚の気配を消していた間、渓流の侘び寂びに興じておりました。
それで、今年です。
春の解禁を迎えた魚野川へ、釣堀屋は様子を伺いにまいりました。
時は解禁後の3月中旬。河原には、雪が1m以上残っております。釣り堀の店番がありますので、釣りは、朝の二時間限定であります。
探った結果、40㎝前後のレインボーを、二尾、キャッチいたしました。
これは、もしかすると、魚野川に、魚の気配が戻ったのかもしれない。かように、釣堀屋は推察したのであります。
でありますから、釣堀ツアラー旅日誌を久方ぶりに更新するための釣り場は、魚野川以外にはないと、判断したのであります。

余談は終了します。
5月の下旬の土曜、魚沼地方は、田植えの真っ盛りでありました。
魚野川に流れ込む雪代は、まだ落ち着いてないはずです。
田植えが真っ盛りですと、代掻きの泥水が、川に流れ込みます。代掻きの泥水に相乗して、雪代で川が増水していると予測すれば、ポイントは、六日町より上流になります。
釣堀ツアラーは、魚野川の六日町付近を目指し、冬の間眠らせていたXR250に火を入れました。
XRはむずかり、なかなか火が入りません。
こうなれば、押し掛けか?!
いや、その前に、ちょっと点検。あれれ、これはもしや。
屈んでエンジン部を点検した釣堀ツアラーの目前には、ガソリンコックがありました。そのコックが地面と平行になっている。
老眼の目を細めて、コック書かれている文字を読みます。なんと、コックの指す方向には、OFFの文字が……。
なんとしたことか、先月、4月に始動した際に、コックを閉じたことを忘れていただけでした。
五十を半ばまで過ぎると、物忘れが激しくなります。己のした行為を、三歩、歩くと忘れるのであります。
てな塩梅で、ようやくXRを引き出しました。
向かう先は、取り敢えず釣り堀です。釣り堀が大丈夫だとは分かっております。しかし、見ておかないと、なんとなく安心できない。
釣り堀へ着いて、一通り眺め、異常のない様子に安心して、魚野川へ向かうのでありました。

向かうルートは、釣り堀から黒姫カントリー前を通って、252から十日町経由で六日町と、考えておりました。
三歩あるくと忘れる釣堀ツアラー。行く先のルートを忘れて、353を、そのまま高柳まで走っております。
ここまで来たら、引き返す行為は面倒です。そのまま津南へ抜けて、津南から清津川沿いに、塩沢へ出りゃあいい。
思い直した釣堀ツアラーは、松代のセブンでコーヒータイムを取りました。
コンビニには、外人(ちゃんころではなく、毛唐のほうです)がおりました。ATMの前で首を捻っておりまして、釣堀ツアラーを、質問したげに見るのであります。
目を合わせた釣堀ツアラー。不器用に肩をすくめて見せて、店員のほうへ視線を走らせました。
「あっちで聞け」
と、毛唐に、ジェスチャーで言ったわけですが、通じたかどうか、逃げるようにコンビニを出た釣堀ツアラーには、その後の結果は分かりません。

余計な話をしていると、話が進みません。ぐっと話を進めます。
コンビニを出て、清津峡に向かう道へ入りました。しばらく走ると、看板がありました。
「この先、土砂崩れにより通行止め」
毛唐に親切にしなかった罰なのか、清津峡から塩沢へ抜けるルートは交通止めでした。
「確か、当間から塩沢へ抜けるルートもあったはずじゃ」
思い出したツアラー。しかし地図は持っていないし、スマホは使い方が分からない。もっと言えば、スマホの使い方が分かっても、スマホの地図は小さくて、老眼鏡なしでは見られない。
「ええい、行き当たりばったりじゃ」
釣堀ツアラーは、117を、津南から十日町へ目指すのでありました。
どの辺でしょうか、117に塩沢への案内表示がありました。
当然、117号線からそちらの方面に曲がりました。一山越え、二山越え、下りた大きな道。この道を下るのか登るのか、少し迷った釣堀ツアラー、選んだ道は、下る方向でした。
釣堀ツアラーが選んだ下りの道の途中には、十日町カントリ-。
「げげ、逆じゃ」
慌てて引き返しました。時はすでに9時を回っております。どんなに急いでも、今のペースで釣り場へ着けば、10時を回るでしょう。
こうなれば、急いでも仕方がない。ツアラーは大人になり、大人しく軽トラのケツをつけて走るのでありました。


最初に着いたポイントはここです。
塩沢だろうとは思いますが、細かい地名は分かりません。
魚野川は雪代のため、増水しております。代掻きのためか、魚野川に流れ込む小さな河川は、濁っております。
しかし、本流は気になるほどの濁りではありません。
釣り人は誰もおりません。
やるでしょう。
用意した武士の魂は、ちゃんころ製の、11ft、8番のスイッチロッドです。やっすい竿ですが、仕舞寸法が短く、バイクにはもってこいであります。
通したラインは、竿より値段が高い、チェンジャブルティップのラインを短くカットしたものです。
フライは、リードにブラックピロピロ、ドロッパーには、不通のウエットフライを選びました。ブラックピロピロは、皆様には、お目にかけられません。

余談ですが、釣堀ツアラーは、ストリーマーはあまり使いません。
なぜなら、大きなフライは、アピール度では、ルアーに敵わないからです。
では、ストリーマは、ベイトとしてのリアルさがあるかといえば、どうみても、ない。ついでに、動きでもルアーには敵わない。
でありますので、ラインの先に結ぶフライに、ストリーマーは選択しづらいのであります。
では、なにを結ぶのか。それは、以下の条件を満たしたフライだと考えております。
フライに巻かれた素材が、水中で揺らめくこと。
噛み心地が柔らかく、餌のような触感であること。
この2点を満たすフライです。この2点が満たされれば、フライフィッシングは、他の釣り方と肩を並べるのであります。
そのようなフライを、釣堀ツアラーは結んだつもりであります。

フライの余談はさておき、さて、一投目です。
どりゃあぁぁ。
ダブルスペイで投げます。
このプールは、右岸から長さの長い流れ込みがだらだらとあります。
このプールで魚いるとすれば、長い流れ込みを過ぎて、川が開いて浅くなる寸前の辺りだろうと、推測しました。
ブラックピロピロを、できるだけゆっくりとスイングさせます。怪しい流れの筋には、できるだけ、留まるようにします。
投げる方向は、上流です。この際、ラインのティップは流心に放り込みます。そうすれば、自分の前にラインのフローティング部が流れてきた時には、フライが先行した形になります。
自分の前に流れてきたラインのフローティング部をメンディングして形を整え、そこから下流45度までが勝負です。
ゆっくりと、フライをスイングさせます。
スイングしてフライを回収した後、50㎝下って、同じように投げます。
50センチずつ下りながら、いよいよ核心部だろう辺りへ、フライが達しました。
核心部で数投目。
「ドスン」
いきなりフライがひったくられました。慌てずに竿を立てます。まあまあのサイズだと思いました。
釣れた魚を浅瀬に誘導して、河原へ引き上げてみれば、ヤマメです。それも40㎝近い。
これは……。
慌ててスマホを取り出すツアラー。ヤマメに向けて、カシャッとしたつもりだったのです。確かに、撮ったつもりだったんです。
釣ったヤマメを放した後、確認してみれば、画像は残っていなかった。
後悔してもしきれません。
同場所では、もう一つ、レインボーを釣りました。そのレインボーは、これです。


最初に、この、いかにも放流もののレインボーが釣れていれば、貴重なヤマメの写真を撮り逃す馬鹿はしなかった。
悔やむも、後悔先に立たずであります。

次に向かったポイントは、右岸から支流の流れ込む、一級ポイントです。河原のあちこちに、人の歩いた跡が見られました。


しかし、釣堀ツアラーが立った時間には、誰もいなかった。
チャンスであります。
大勢の釣り人が、魚をすれさせていても、ブラックピロピロを拒む魚がいるとは思えません。
右岸から流れ込む支流は、数筋に分かれて、本流と合流しております。その支流が合流し終えた辺りが、生臭いのであります。
そこは一見、流れは速そうです。しかし、ラインを流してみれば、そうでもないのであります。
「来るかもしれない。大ヤマメが」
釣堀屋は期待して、ブラックピロピロを流しました。
「ンン?」微妙な感覚。感ずると同時に、釣堀ツアラーは、竿を立てたのであります。
竿の先には、先に釣った大ヤマメより、数段、大きな魚の気配。
竿先は、間欠に、がくがくと大きく曲がります。
魚を怒らせてはならない。
釣堀ツアラーは、魚に釣られたと悟らせないように、そっと、ラインを回収しました。シューティングラインを回収し、フローティング部がロッドに入り、ティップが入るかというところで、魚に釣られた事実を気づかれました。
釣られたらしいと気づくや否や、魚は急に首を大きく振りました。同時に、流心へ一目散に走ります。せっかく回収したラインは、回収した以上に引き出されました。
魚は流心付近で、首を振っております。
流心にある石に、フライを擦りつけているのだと、推察しました。
じわりとプレッシャーを掛けます。浮かしては沈み、寄せてはラインを出すを、数回繰り返しました。
やばいやばい。
ヒヤヒヤものですわ。
フライの掛かっている位置や掛かり方を見ない限り、安心はできません。
数回のやりとりの後、魚を手元へ引き寄せることができました。
寄せた魚がこれであります。

魚野川水系で釣ったレインボーで、三番目に大きなサイズでした。
豪雨被害で一時魚は薄くなった魚野川でありますが、どうやら、魚は戻ったようです。
釣堀ツアラーは、満足して家路につきましたとさ。

放流は、するときだけお知らせします。