で、ありますので、営業は、消極的にならざるを得ません。と、体のいい言い訳を見つけましたので、今週も放流しません。
魚は元気です。餌の食いもよい状態です。しかし、放流がないので、ルアーにはスレきっております。なので、未経験なアングラーさんは、まず、釣れません。
かと申して、武漢熱の広がるこの頃です。もし、当店で感染者が出たとなれば、地域の方に迷惑がかかりますから、越境される方が多い8月前半は、特に要注意です。
お盆明けまでは、放流をする等の、積極的集客を控えようと思う場末の釣り堀であります。
先週は、GoToキャンペーンとやらが開始されました。弱小の釣り堀には関係のない話ですけれど、少しだけ、浮かれて逝ってまいりました。
釣堀家が逝った先は、我が国において、フライフィッシングが最初に楽しまれた川として名高い、奥日光戦場ヶ原を流れる、日光湯川であります。
サクラマスの、九頭竜川。ハッチザマッチの忍野川。そして、我が国のフライフィッシング発祥の地、日光湯川。この3つの川が、釣堀家にとっての三大聖地であります。
時は4連休で、GoToキャンペーン開始直後です。湯川のような有名な川には、たくさんの釣り人が訪れるかもしれない。
もしかすると、釣りにならんくらいの釣り人が並ぶんじゃないだろうか? と、場末の釣堀家は心配をしました。
しかし、梅雨の真っ盛りです。しかも、湯川のある北関東には、大雨注意報まで発令されております。
連休とはいえ、それなりの雨が予想されておれば、釣堀家ほどの馬鹿でない限り、聖地には立つまい。
釣堀家は、このように考えて、聖地に赴くのでありました。
家からは、関越道経由で湯川まで、2時間半ほどで到着します。遊漁券は、湯川の水源となる、湯の湖の畔で売っております。
遊漁券2000円也。
余談をいえば、魚沼漁協の日釣り券も2000円に消費税です。お高いですけれど、必ずしも、値段に応じた釣果が期待できるとは限りません。ちなみに、場末の釣り堀なら、2時間の釣りができます。
余談はやめて、遊漁券を購入した釣堀家は、湯川の最上流となる湯滝から川に降りました。
湯滝は、湯の湖から溢れた水が、戦場ヶ原に落ちる滝です。湯川はこの滝から始まります。ちなみに、湯川の終点は、中禅寺湖になります。
釣堀家が湯川を訪れるのは、この度で2回目です。先回は、もっと下流、湯川の中程から釣り上がり、湯滝との中間に位置する、小滝まで釣り上がりました。
思い起こせば、先回訪れた時は、晴れの続いた暑い8月の、終わり頃でした。
湯川の畔には遊歩道があって、釣り人だけではなく、ハイカー、中でも、煩いほど歩いていたハイカーは、林間学校の小中学生でした。
この度は、武漢熱の影響と雨もあって、ハイカーの数はまばらでした。それも、家族ずればかりです。
ほっと安心する釣堀家です。
と、釣堀家がハイカーを嫌がるわけは、先回、湯川を訪れた際、釣りをする釣堀家に、ひっきりなしに「釣れますか? なにが釣れるんですか?」と、煩いほどにハイカーが、特に、小中学生が、お声がけ下さったからです。
お声がけの度に答えるのに疲れた釣堀家は、「魚」と、ぶっきらぼうに答えました。すると小中学生は、「こわー」と、小声で捨て台詞を残して過ぎ去ったのであります。
かような心配は、今回ありません。心置きなく、釣りができます。
と、喜んだ矢先。遊歩道から垣間見える湯川には、そこかしこにフライフィッシャーの姿が。数えやしませんでしたけど、両手では足りぬ数です。
期待を膨らませた湯川には、ポイント毎に、フライフィッシャーがお立ちになっております。
この雨の予報に、釣りをする馬鹿は、釣堀家だけではなかった。「ふうー」と、溜息をつく釣堀家です。
アングラーが多くて釣りになりそうにもありません。とはいえ、ここまで来ました。すごすごと帰るには遠すぎます。
先回、釣りをしなかった、湯滝から小滝までの区間だけ、釣りをしてみよう。
決意した釣堀家は、「すいません。お邪魔します」と、先行者に声を掛けて、後に入らせていただきました。
先行者を観察すれば、みんな、浮きを使ったニンフの釣りです。
湯川に主として生息する魚は、ブルックトラウトです。ヤマメは勿論、イワナよりも警戒心の薄い魚です。
先行者は水面下の釣りです。しかも、魚は警戒心が薄いブルックトラウト。もしかすると、ドライフライに反応するかもしれない。
ここでドライフライで釣ったとすればカッコいいです。釣堀家はティペットの先に、ドライフライを結んだのであります。
数カ所、ここいなければどこにいるというポイントにドライフライを流すも、反応は皆無でした。
数カ所で心が折れました。なにせ、釣り師の数が多すぎます。これだけひっきりなしに通っていれば、馬鹿なブルックといえども、水面になど出るわけがありません。
釣堀家も、先行者に習って、ドライフライからニンフにフライを替えました。
釣堀家のするニンフの釣りは、浮きを使いません。ユーロニンフスタイルの、釣堀家風ニンフィングです。
他のアングラーがしている、浮きを使ったニンフの釣りは、流れの筋を探るには適してますが、小さなスポットを探るには不向きです。
これだけ先行者が釣りをしていれば、魚は、流れの筋などで、のんびりと餌を摂っているわけがありません。障害物の陰などの小さなスポットで、じっと身を潜めているに違いないのです。
幸い、釣堀家風ニンフスタイルは、小さなスポットこそ得意であります。で、釣堀家は、いかにも根掛かりしそうな、小さなポイントに重点を絞って釣りました。
脇の抉れや、倒木の下を丁寧に探ると、目印のファールドリーダーがふと張ります。
アタリじゃ、とりゃぁぁぁー。声は出しませんけど、大きく合わせますと、少し重みを感じたあと、すぐに軽くなり、外れたフライが後方へはじかれます。
湯川は、立木の被る川です。はじかれたフライは、後方の枝を釣ってしまうのです。
タイトなポイント攻めるので、根掛かりもします。加えて、スレた魚は、ほんの少しのアタリしかもたらしません。
合わせを外されたフライは、後方の高い枝を選んで引っ掛かるのであります。
いやぁ、フライを消耗する、する。湯川用に巻いたフライの半分を、川を半分も歩かぬうちに消耗しました。
フライを消耗しつつも、岸際のえぐれで、目刺しサイズのブルックはゲットしました。魚を釣って、ふと背後に視線をやれば、後続するフライフィッシャーと目が合いました。
本当は、魚の写真を撮りたい。しかし、釣れた魚は目刺しサイズです。後続者の前で、目刺しの写真を撮る姿は、釣堀家の矜持が許しません。
釣堀家は、平静を装って、後続する者が見える位置まで魚をさりげなく誘導して見せ、手にする姿勢もなく、水中でリリースしました。
20センチ以上あったら、写真を撮ろう。己に言い聞かせた釣堀家は、なおも釣り下りました。
ちなみに湯川では、多分、湯滝から入った釣り師だけの習慣だろうけど、殆どが釣り下ってました。
という、習慣はよいとして、そのうち、かようなポイントに出会しました。倒木の開いた隙間に、いかにも魚が潜んでいそうです。
魚のいそうなポイントには、急いで近づいてはなりません。魚は、動くものがよく見えるから、近寄るときは、なるべくそっとです。
そっと近寄りました釣堀家は、根掛かり覚悟で、倒木の隙にフライを入れました。すると、バイカラーのファールドリーダーの動きが止まりました。
根掛かりかな? と、疑いつつ、合わせをくれました。すると、これまでとは違う重みが。少し、大きな魚です。
釣れたには釣れましたが、倒木の隙間の中です。魚は、フライを外そうと、倒木に突進します。
危機を感じた釣堀家は、ネットを手にして魚を一気に浮かせました。掬った魚がこいつです。
よかったです。写真が撮れました。ふと目を上げれば、2人組のアングラーが注目しております。
釣堀家は、会釈をして、平静を装い、魚をリリースするのであります。
すると2人組は、急に無関心さを装いましたので、釣堀家は、言葉を交わすこともなく、先へ進みました。
その後、もう一匹、撮ってよいサイズの魚を釣って、目標の小滝に辿り着きました。
ちなみに、湯滝の下も、小滝の下も、探りましたが釣れませんでした。大勢が釣った後だろうから、当たり前の結果です。