台風が日本の東海上を通過する予報になっております。東海上を通る台風は、雨風ともに、弱小の釣り堀には、さほどの影響はございません。
台風の影響はない予想になっております。また今週末は、渓流釣りが禁漁になります。さらに、アルビレックス新潟は勝ちました。
場末の釣り堀が、放流を躊躇う理由はないのであります。
で、放流しようと考えますと、先週の放流からの売り上げが侘しい限りなのです。元が取れないような状況で放流を決意する有様は、放漫経営と言わざるを得ません。
釣堀家は、アルビレックス新潟の連勝を祝って、今週も放流したいのです。しかし、我が家の財務省が許しません。
財務省に逆らうと、渓流解禁の最終日に釣りに行けなくなります。よって、涙を呑んで、今週の放流はいたしません。
放流後のお客様は少ない状況だったので、使うルアーによっては、それなりに釣れます。魚の数も多いですしね。
ですが、使うルアーにこだわる方と、素人さんには難しいと付け加えておきます。
さて、渓流釣りも今週で終わります。皆様は、どこで締め括るのでありましょうか?
場末の釣堀家ごときは、先週、釣り堀オバさんに店番を頼みまして、今期のラスト、あわよくばラス前の釣りに、お客さんを案内して逝ってまいりました。
今年のラストで向かった釣り場は、20年ぶりに訪れる釣り場であります。普通、3時間歩かねば辿り着けない釣り場です。特別に許可を得れば、歩く距離は少なくなりますが……。
知る人ぞ知る、山奥の釣り場です。釣堀家が到着した明け方には、すでに、一名の釣り人が、ルアーを投げておりました。
使っているルアーは、本流で使うような大きなルアーでした。釣堀家の通った20年前と様子が変わらぬのなら、この釣り場の魚は、産卵を控えた魚体で、かなりナーバスになっているはずです。
かの釣り人は、夜明け前の暗い時刻から、苦労して辿り着いた釣り場でしょう。けれど、使っているルアーから察しますと、難しいのではと、余計な心配をする釣堀家であります。
釣り場は、20年前と大方、変わっておりませんでした。とはいえ、新しい放水口が下流にできておりました。新しい放水口ができたお陰で下流の水位が上がり、過日は立ち込めた釣り場が、かなり深くなっております。
立ちこめないのでバックはありません。フライで釣りをするのなら、ロールキャストをする他ないのであります。
高所から釣り場をじっと眺めておりますと、時折、ライズが見られます。ライズの下流へ目を向ければ、大きな魚が輪になって、グルグルと回っている姿が見られました。
グルグル泳ぐ魚の動きは、餌を探しているような様子ではありません。ただ本能的に、グルグルと群れて泳いでいるだけに見えます
この釣り場をよく知る人に訊いたところ、ルアーを投げますれば、反社の賭場に警察が現れたかのように、回る魚の群れが、サーァッと、散るそうです。フライも然りで、ラインの陰が刺すと、壁ができたかのように避けて泳ぐのだそうです。彼が結論づけるには、そこの魚は観賞用で、釣りの対象ではないそうです。
ナーバスな魚の振る舞いは、場末の釣り堀以上でございます。この魚を釣らねばならんのです。
釣堀家はフライ、同伴のお客様は、ルアーで釣ります。
釣堀家は、岸から3~4mくらい沖に頭を出している岩に乗ります。ルアーのお客様は、上流のワンドでルアーを投げております。
お客様の投げるルアーは渓流用でした。魚がナーバスだから、派手にルアーを動かすとスレるばかりです。渓流用のルアーなら、動きが大人しいので釣れそうです。
釣堀家が使う武士の魂は、8ft4in~10ftに可変する#3のロッドです。バックがないので、150グレインの、安物スカジットラインを通しました。
湖の一般の釣りでは、沈むラインを使います。しかし、フライラインはルアーよりも目立ちます。従って、フライラインが通過する位置にいた魚は、ラインを避けるだろうと予測できます。なので、フローティングラインを使います。
システムは、ラインの先にオレンジのポリリーダー、ポリリーダーには、この釣りで用意した、長細いインジケーター(浮き)を、直接装着します。
このインジケーターは、パラシュートポストの素材で作ってあります。柔らかく、つまむと細くなりますから、ラインを巻き取ると、インジケーターがロッドのガイドを通ります。
ですから、ティペット(ハリス)をロッド以上に長くしても、魚を取り込む行為が可能になります。
フライは、10番のフックに巻いたニンフを選びました。紫外線を反射して目立つ渓流では必殺のフライです。
第一投です。ドリャァァ。スカジットラインは、25m以上の先へフライを運びます。フライが沈み、細長いインジケーターがフライのある方向を示します。
朝一の貴重な時間が過ぎます。15分ばかりインジケーターを見つめましたが、変化はありません。
すると、インジケーターのすぐ下流でライズが見られました。ライズの周囲を眺めますと、極小さい羽虫が水面に浮かんでいて、時折吹く風に転がされております。
フライフィッシングだから、ライズを狙ってドライフライを投げればよいかもしれません。しかし、止水の水面は、かなり難しい。あれやこれやと考えている内に、ライズが止む状況が普通です。
釣堀家の経験では、湖では、ベイトが群れていても、マスは虫を食う場合が多いです。しかも、ライズがあって水面の虫を食う魚が目立つ場合でも、魚のほとんどは、水面下の、それも底近くで、浮上する途中のボウフラを食べているように感じております。
釣堀家の経験から鑑みますれば、ここの魚も、ボウフラ状の虫に反応すると予測されました。
予測に従い釣堀家は、16番のフェザンテールニンフにフライを変えました。フライのサイズを小さくしたので、ティペットを6X(0.6号)まで落とし、底近くまで沈めるために、長さを3mまで伸ばしました。
あれこれ変えて、なるべく静かに投げます。ドリャァァ。
風が弱く静かです。このような水面では、無闇に投げ返すと、魚を散らす原因になります。釣堀家は、やたらと投げずに、じっとインジケーターを見つめております。
と、インジケーターに少しだけ変化があったような。すかざず合わせました。釣れた魚がこれです。
この釣り場では小さい魚です。小さくても、一匹です。頭を丸める結果は免れました。
同じように釣って、ヤマメも捕れました。婚姻色の出た、美しい雄です。
2匹釣ったところで、釣れていないお客様に、釣り場を譲りました。釣堀家は、お客様がそれまで釣っていた場所へ移動します。
そこで、今日一の岩魚を釣りました。
昼飯です。釣り場で食うチキンラーメンは、ミシュランのラーメン屋よりも旨いです。
同伴のお客様にも、3回ほどアタリがあったそうです。釣堀家も、大きな岩魚がお客様のルアーを追う姿を目撃しました。チャンスをものにできなかった結果は残念ですけれど、ナーバスな大型魚を狙って、3回のチェイスを得られた結果は惜しかった。