5月の中程を過ぎますと、誠に閑散とする場末の釣り堀でございます。
少ないお客様を観察しておりますと、まあまあ、釣れております。なのに、平日は0~2名様。土日で7~8名様と、弱小ぶりを遺憾なく発揮しております。
哀れですねー。
これもそれも、平素の釣堀家の態度が悪いせいだと反省しております。とはいえ、生来の不調法者です。おいそれとは改められません。ですから秋になるまで、弱小を続けるだろうと予測できます。
アルビレックス新潟は、天王山のナンチューカ横浜に勝ち、苦手の水戸ナットウにも快勝しました。
この調子なら、J1復帰の可能性は高いですけれど、場末の釣り堀は弱小なので、今週の放流もできません。

話は変わります。
今は亡き、芥川作家の開高健氏が足繁く通いました、奥只見ダム湖。通称、銀山湖が、新潟県魚沼市にあります。
不肖、釣堀家も、釣り堀を開業する前には、よく通った湖です。
一時の銀山湖は、釣り人は勿論、観光のお客様で賑わいました。ところが近年、あちこちで観光施設が充実したせいか、観光客が減り、尚且つ、釣りのお客様も減っている様子です。

ダム湖の銀山湖は、ダム湖の特徴として湖畔が切り立っております。ですから、岡から釣りのできる場所は、北ノ岐川インレットなど、数カ所しかありません。
従って、銀山で釣りをするためには、ボートからになります。ボートとはいえ、銀山湖は広いので、手漕ぎボートでは勝負になりません。
なので、エンジン船を借りないと、良い釣りはできないのであります。
エンジン船を借りるには、免許が必要です。また、ボートを予約しなければなりませんし、なにより、費用が多額になります。
と、銀山湖で釣りをするには、色々と面倒な準備が必要です。となれば、手軽な川や海へ行こうとなる傾向は仕方がありません。
しかも、湖畔の釣り宿は、後継者不足に見舞われ、次々と店仕舞いをしております。釣り宿が減れば、一層、釣り人離れに拍車が掛かる様子は明らかです。
釣堀家がいつもお世話になっている釣り宿も、近いうちに店を仕舞うかもしれません。

おっと、前置きが過ぎました。
銀山湖の定宿が閉じるかもしれないので、久しぶり、恐らく、15年以上ぶりに、銀山湖で釣りをしなくては、それも岡からではなく、エンジン船を借りて釣らねばと、決意した釣堀家でございました。
銀山湖の釣りが念頭にあったところで、おらちのお客様と、どこかへ釣りへ行こうかと雑談いたしました。
釣りに行こうとなれば、誘うでしょう、銀山湖へ。
誘われた2人のお客様は、前から銀山湖で釣りをしてみたいと思っておりましたと、快諾です。
無職の貧乏人の釣堀家は、心の中でニンマリです。単独なら、ボート代を全額負担しなければなりません。3人なら、3分の1で済みます。
3分の1の値段で、不義理を働いていました釣り宿さんに、義理を果たせます。

てな塩梅で、釣堀家と、団体職員のW様と某有名企業のN所長との3名で、5月の銀山湖に赴いた次第であります。
銀山湖は、大イワナが釣れる様子で有名です。しかし、大イワナが釣れるとは旧日の話で、昨今は、40センチのイワナを釣るのも苦労します。
とはいえ、40アップのイワナは釣れないだろうけれど、尺イワナくらいのサイズなら釣れる可能性は、他の釣り場に比べれば高いです。

釣堀家一行がお世話になった釣り宿は、銀山平の荒沢ヒュッテさんです。不肖、釣堀家は、オーナーの佐藤夫妻には、公私共に、非常に世話になっております。

 



最初向かった先は、ダムサイト方面でした。禁漁区近辺をパトロールした後、アンカーを入れた場所が、仕入沢の出合です。
ここは湖の真ん中に向かって、沈んだ尾根の張り出す好ポイントです。尾根の両側に魚がつく場合が多いのですが、悪徳フィッシングガイドの釣堀家は、そのような機微は教えません。てか、教えたはずだけど、てんでが勝手に釣りをいたします。
ガイドのアドバイスを聞かぬお客には構っていられません。釣堀家は尾根の湖側をトレースするようにフライを引きます。
使ったラインは#8のタイプ2シンキングラインです。ラインの先に、1.5mほど、タイプ6のラインを足してあります。
フライは、オリジナルのワカサギフライ。銀山湖は湖底を探る場合が多いので、根掛かり防止にウイードガードをつけてあります。

釣堀家の投げたフライに、こそりとしたアタリがありました。
沖に伸びる沈み尾根にフライが触ったのかもしれません。しかし、尾根なら何回か底を擦る手応えがあるはずです。
ないとすれば、魚の可能性が強い。案の定、数投するとドスンと重みが感じられ、ラインが右へ走ります。
「釣れたよ」
釣堀家はN氏とM氏に告げました。ゴツゴツとした魚の引きです。大きくはないが、イワナのような引きでした。
上げた魚がこれです。

 

見事な尺バヤです。ワカサギを常食しているらしく、腹がパンパンです。体力が余っているせいか、引きも強い。
第一号が尺バヤとは、がっくりと膝を崩した釣堀家です。

ハヤとはいえ魚は魚です。釣れたハヤを見て、N氏とM氏は、俄然、やる気を見せます。
さらに、両氏のルアーを魚が追う姿が目撃されました。両氏は、なおさらやる気を見せます。
と、N氏の脇を80センチはあろうかと思われる魚が通過しました。氏が言うには、明らかにイワナだとのこと。
さすが銀山湖、伝説の大イワナは健在でした。

仕入沢の出会いで粘りましたが、アタリはでません。仕入沢の奥を覗き、その後、十二神社下というポイントにアンカーを入れました。
十二神社下で釣りをするとすぐに、N氏のロッドが曲がりました。ドラッグも少し出ます。ハヤじゃなけりゃいいがと懸念しましたが杞憂でした。

 

上がった魚は、30センチちょっとのイワナです。
川で釣ったのなら大喜びのサイズです。しかし、銀山湖では一般の大きさになります。これより小さなイワナを釣る行為は、ある意味難しゅうございます。
この日のN氏は絶好調です。いいや、ガイドの釣堀家が、船を停泊するポイントがよいのであります。
悪徳ガイドの自慢はよろしい。N氏は、続けて30センチ半ばを超える岩魚を追加します。
ルアーは、5センチのシンキングミノーだそうです。

 

それを見たM氏も釣りました。40オーバーのイワナです。



N氏だけが釣れるのなら、N氏の釣り方が良かったのかもしれません。両氏が釣れたとなれば、両氏の腕だけでなく、悪徳ガイドも優秀なのでしょう。
それもそのはず、釣堀家は毎週、通った過去があります。
10年以上昔とはいえ、過去に釣れた記憶のある場所には、かなりの確率でイワナが着いておるようです。

悪徳ガイドとして自信を得た釣堀家は、最も実績のある北ノ岐の流れ込みへ移りました。
ここまでハヤしか釣れておらぬ釣堀家に、始めて魚が掛かります。

 

40センチを少し超えたくらいの岩魚です。
この後、気配が遠のいたので、ガレ場というポイントへ移動しました。ここは闇雲にアンカーを入れても釣れないのです。船を停める場所を吟味しないと、魚を散らす結果になります。
船は、丁度よい位置にアンカーを入れました。するとN氏がすぐにロッドを曲げました。魚は、結構な引きで暴れます。
船まで寄せられ、ギラリと反転したイワナは、50センチあるかもしれない大きさでした。50センチあればトロフィーです。
M氏が慎重に掬った魚がこれです。

 

50センチはありませんでしたが、近いサイズのよい魚でした。
悪徳ガイドを標榜しておりますが、釣堀家のガイド料は無料です。ただし、釣り堀の常連さんしか案内しません。
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